古代アレクサンドリア図書館と視聴覚室の収蔵資料目録

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「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展 東京都写真美術館

time 2016/10/06

「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展 東京都写真美術館

「今日 世界は死んだ
もしかすると昨日かもしれない」
廃墟の街と廃劇場に遺された
「文明の終焉」をテーマにした展覧会

 10月1日は東京都民の日で、無料や割引になる都立施設が多々あります。

 今年は先月リニューアル・オープンしたばかりの都立写真美術館に行ってきました。

 NHK日曜美術館のアートシーンで紹介されていた、杉本博司「ロスト・ヒューマン」展に興味を惹かれたもので。

 3階と2階で展示が行われており、3階から入場。

 まず目に飛び込んできたのは、錆びたトタンで仕切られた昭和の廃工場のようなセット。

 自分は廃墟好きかつ工場萌え(の中でも巨大な機械や構造物に興奮するタイプ)でもあるので、いきなり心が弾む。秩父セメントの看板があったので、その辺りがセットの素材元のようだ。

 リニューアル後の初展覧会だけに、一般的な写真展のイメージを覆す企画を持ってきたということか。

 廃工場を探検するような気分で進んでいくのだが、棚や机などのところどころに写真やメッセージが配置されていて、その最後に和歌が書かれていたりする。

 パンフレットをチラチラ眺めてみると、文明の終焉といったものがテーマのようだ。古雑誌や新聞やポスター、アンモナイトなどの化石、人形、哺乳類発情期の一覧表からラブドールまで出てくる。もはや繁殖力を失った人類の終焉を示しているのだろうか‥‥。

 さらに隕石、レーニンの写真、宇宙食、赤紙や軍用地図から聖母子像、イエス・キリストの最後の晩餐とクライマックス感が高まった末に、鈴木大拙の禅書と初音ミクフィギアを経て、建造物、能面、大自然の写真が‥‥これは人類の絶滅なのか、再生という意図が込められているのかはわからない‥‥。

 
 個人的には、板塔婆を家の囲いのように並べ、その中の棚に洋人形を置いた展示にインパクトを受けた。子供の頃に見たら確実に夢に出てきそうである。

 2階は『廃墟劇場』というタイトル。こちらは写真展らしく壁に写真が展示されており、解説らしき文章が添えられている。

 だが、その写真はすべて廃墟の映画館。しかもスクリーンの光のみが光源らしく、銀幕の画面は白抜きのように何も写っていない。

 パンフレットによると、アメリカの廃墟の映画館でわざわざ映画を上映し、それを長時間露光で撮影した写真なのだという。

 ちなみに撮影時に上映した映画は黒澤明の羅生門など、とのこと。そのコンセプトに通じてか、各解説の最後は日本の古典文学の一節で締めくくられている。

 そして、有名な三十三間堂の光背仏の集合写真(?)が。廃墟の世界に出現する御仏というイメージで捉えてしまうが、実際に信仰を持っている人たち、日本のみならず海外の人たちも「文明の終焉を迎える人類と、その救済?」というテーマをそれぞれどのように感じるのであろうか?

 そんなことを考えつつ一階に降りると、この日、地下階では『世界報道写真展』の展示期間中。

 こちらも見てみたかったか、閉館30分前になっていたので撤収。

 歩く歩道という文明の利器に運ばれて駅に戻りながら、『世界報道写真展』は『ロスト・ヒューマン』のリアル現在進行形の展示なのかも知れない、急ぎ足でも見ておけばよかったなと後悔先に立たず。

 館への要望としては、展示室の出入口がわかるように示して欲しい。

 最初、間違えて出口から入ろうとしてしまい係員から声を掛けられたが、出入口を示さない意図がある展示ならともかく、意味も無くわかりにくいのでは戸惑うだけなので改善を望んでおきます、タダで見て言うのもなんですけどw


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