古代アレクサンドリア図書館と視聴覚室の収蔵資料目録

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138億年の音楽史 浦久俊彦 (著) 講談社現代新書

time 2016/09/13

138億年の音楽史 浦久俊彦 (著) 講談社現代新書

音楽史というと歴史教科書のような
時系列順のエピソードの羅列をイメージしてしまいがちだけれど
この本は音楽の歴史の博物誌でもある

まえがきから「この本は音楽の本ではない」とか「ぼくは音楽のジャンルというものを信じていない」と宣言する著者。

では、音楽についての何を書いた本かというと、「音楽は世界を解き明かす言語である」という概念を提示する。

古代ギリシアの数学者にとっての数学のような、世界を解き明かすための手段として音楽を捉えようとするのか? 果たしてそんな壮大な試みは可能なのか! と大げさに驚きつつもページを捲くってみる。

壮大なファンファーレから始まったシンフォニーの第一(楽)章のタイトルは、「音楽という宇宙」といった壮大なもの。
「ビックバン直後の宇宙は、全体が「原始大気」のようなものに満ちていて、振動を伝えられたらしい」というのだが、音楽史の本でビックバンから書かれたものは寡聞にして知らない。
ヒッグス素粒子の観測データが楽譜に変換されたとか(確かAbemaTVの番組でやっていたような記憶がある)、“人間に聴こえる音”をいきなり突き抜けて原始宇宙の音の話に! まさに音楽という概念のビッグバン、それが大げさであれば「大気圏突破」といえようか!?

そこから古代中国の「楽」、インド音楽からやはり古代ギリシアの音楽家ピュタゴラスが登場。
「古代ギリシャ人たちにとっては、聴こえる音楽よりも聴こえない音楽が、より高度な音楽と考えられていた」というから驚きだが、そこから音楽とは宇宙と人間の調和であるみたいな話になり、読んでるだけで自分が哲学者のようになった気分になるのだが、冷静になってみるとよくわからないのもまた事実であった。オカルト雑誌ムーのオモシロ特集企画を読んだ時のような高揚感というべきか!?

こうした古代世界における音楽の流れから、二世紀のアレクサンドリア(!)の天文学者プトレマイオス未完の書『ハルモニア論』が生まれる。ここから話は一気に時を超え、16世紀の天文学者ケプラーが登場。

ケプラーはカトリックとプロテストが殺し合った時代の真っただ中の時代に生涯を送ったため、母親が魔女裁判にかけられたり自身も教会から破門されたりと大変であった。そのため天文学者なのに『宇宙の調和』という著作で音楽的なアプローチを試みている。

面白いファンタジーライトノベルを読んだ時のような高揚感というべきか!?(萌えキャラは出てこない)しかし一歩間違えば新興宗教団体がつくるファンタジーアニメ映画のようでもある。オッサン教祖が無理繰りに美形キャラになってるみたいなアレですな。

第一章だけでこんなに字数を費やしてしまうほどの詰め込みぶり。

音楽の歴史にガチで向き合うほどこうなってしまうのは仕方ないのでしょうが、噛み砕きつつ読んでいくと時間がかかるため、紹介も音楽記号でいうところのF.A(フェードアウト)せざるを得ません‥‥。

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