古代アレクサンドリア図書館と視聴覚室の収蔵資料目録

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藤子スタジオ アシスタント日記-まいっちんぐマンガ道- えびはら武司(著)

time 2016/09/17

藤子スタジオ アシスタント日記-まいっちんぐマンガ道- えびはら武司(著)

『アオイホノオ』や『ブラック・ジャック創作秘話』がドラマ化され
近年話題の“マンガ家マンガ”の藤子不二雄版をご紹介
ドラえもん初期の一番弟子アシスタントから見た天才マンガ職人の仕事術

 
前々回の『ブッチュくん』で藤子マンガ熱が再燃した自分ですが、知名度バツグンの藤子作品を今更紹介するよりも、藤子不二雄両先生を描いた「マンガ家マンガ」をご紹介いたしませう。

かといって『まんが道』については書き切れないほど印象的なシーンが多いのでパスして(紹介せんでも超有名作ですしね)、今回は元アシスタントが描いた『藤子スタジオ アシスタント日記』をご紹介。

作者はえびはら武司。『まいっちんぐマチコ先生』という今やアラフォー世代のオジサンが性に目覚たのはこのマンガ、そんなヒット作の作者であります。アニメ化もされたほど。

本作は「本当にあった愉快な話」という「主婦やOLが気軽に読めるマンガ誌」連載作のためか4コマ連作。「この手の作品で4コマ連作かいな?」と思ったものの、作者の軽快な作風にマッチしているため読みやすく、藤子F先生的なポップさも感じさせるため、結果としてマンガ家マンガの中でも独特のテイストな仕上がりになっております。いや、マジで褒めてますよ。

ちょうどドラえもんの連載初期にアシに入ったため、ドラえもんのブレイク前夜でヒット作に恵まれていなかった藤本先生(藤子F)を独占するような幸運に恵まれた人なんですね。
根っからの藤子ファンで高校在学中に自ら電話をかけて弟子入り志願、しかも藤本先生直々の面接により採用された(少々紆余曲折アリ)というラッキーボーイ。

藤子スタジオの先輩アシたちは今で言うプロアシスタント的な思考の持ち主で、熱烈ファンからアシになったのはこの人が最初。それゆえ「藤本先生の一番弟子」という称号をも手に入れたという、幸運以上の強運の持ち主ですな。

当時リアルタイムのコロコロコミック読者だった自分にとっては、ドラのスピンアウト的作品を多く手がけ、後にコロコロで連載を持ったチーフアシの片倉陽ニ氏やしのだひでお氏の仕事ぶりや、のび太のお父さんの疎開エピソード回に出てくる少女と、『おしかけ美少女モノ』の先鞭作ともいえる「ロボ子」を描いたアシの正体など、藤子作品に抱いていた40年来の疑問が氷解するカタルシスを味わえました。

ジャイアンの名前を付けていなかった理由など、藤本先生の人柄や作家観を感じさせるエピソードや、藤子両先生が使い分けているサインの意味、トレードマークだったベレー帽が「仕事スイッチ」だったなんてのも才能ある作家の仕事術っぽくてカッコいいんだな。

また、藤本先生と対照的な性格の安孫子先生のエピソードにもニヤリとさせられる。最新機器だったコピー機でマンガ表現をイノベーションするA先生(A先生の発想力や企画力はもっと評価されるべき!)に、おそ松くんでいかにもな使い方をする赤塚不二夫先生もらしさ満開。

時代的には“その後のマンガ道”という読み方もできますので、ぶらり訪れた見知らぬ人が実は赤塚不二夫先生だったとか、黎明期(?)の漫画プロダクションやアシスタントの実態録としても面白いです。

けれどまぁ、40年前の記憶を辿った「マンガ=エンタメ」なので、どこまで真実なのかは神のみぞ知る‥‥のかもしれません。

ドラえもんファン、特にコロコロ連載をリアルタイムで読んでいた世代であれば楽しめること請け合いですが、戦後の児童文化史や、日本が生んだアジア圏で最も愛されるキャラクター・ドラえもん誕生の資料としても参考にされ続けるであろう一冊ともいえましょうか。

と、藤子先生の話ばかりになってしまったけれど、えびはら先生の描くマチコ先生も昔より線が洗練されてるように見えるほど可愛い。このまま描き続けて和製ベティ・ブープのような存在になって欲しいと願っております。

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