古代アレクサンドリア図書館と視聴覚室の収蔵資料目録

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昆虫を食べる! 水野 壮 洋泉社新書y

time 2016/09/06

昆虫を食べる! 水野 壮 洋泉社新書y

 虫だからって食べ物として無視したらもったいない!
めくるめく昆虫食ワールドへの招待状
これを読めばバッタやセミを見て涎が止まらない人間になれるかも!
最近は外国人にすっかり鮨の旨さが「見つかって」しまい、鮨ネタ不足が報道されたりしているが、自分が子供の頃はテレビ企画などで外国人に鮨を食わせようとすると、やれ「生臭い、気持ち悪い 」だの悪評プンプンだったりしたものだよ。

しかし、我々日本人もフランス人がエスカルゴを食うのを見て気持ち悪がっていたくせに、先入観ナシで見れば実際かなり気持ち悪いイカやタコや貝類を「美味しい美味しい」と言ってムシャムシャ 食べている(しかも生で)のだからあまり他人のことは言えないであろう。

また、海老やシャコといった甲殻類も、昆虫どころかダンゴムシやムカデやゲジゲジといった節足類に似ているように見える。こういう風に見ていくと鮨が食えなくなってくるので、小さい子供がいるんだけど家計が苦しい家庭は、子供にこういった“食育”を施していくことにより食費が抑えられるようになるであろう。

ナニが言いたいのかというと、結局人間が見た目で「美味しそう」とか「不味そう」とか判断しているのは過去の学習の結果に過ぎず、先入感を失くせば見た目がキモい食材でも美味しく食べられるに違いない‥‥という長いマクラ話でしたとさ。

で、この本は昆虫食の本なわけですが、新書なのに巻頭はカラー写真という美術書のような構成。
居酒屋のメニューのような、大皿に山盛りになったカンボジアの「タランチュラ炭火焼き」などはいかにも刺激的だけど、「かに玉風コオロギの甘酢あんかけ」「タガメ入りうどん」などは昨今の日本の食産業におけるセンシティブ過ぎる“異物混入騒動”を場外まで放り出すようなインパクトで迫ってくる 。

ホラー漫画界の大御所・日野日出志先生の作品などには「いつも弁当を隠して食ってる謎クラスメイトがいて、覗いてみたら虫弁当だった!」なんてシーンが出てくるが、実は彼のお母さんは意識高い系で、昆虫食を弁当に取り入れるロハスな食生活を実践しているのかもしれない‥‥などと意識が変わること請け合いであろう。

かといってこの本はレシピ集ではない。かつて日本人にとっては身近であった昆虫食の概説から始まり、海外にもある昆虫食から国連食糧農業機関による昆虫食の推奨レポートを紹介する。

環境面などから見た養殖食糧としての優位性、栄養学から見ても昆虫食って素敵だよね‥‥でも食べ る時は充分に加熱してね! といったためになる薀蓄が続き、最後は実際に食べてみようよとレシピ紹介 。

価格は950円だが、この一冊で得られる知識を食費に換算すれば∞(無限大)であろう。コストパフォーマンス的に見ても非常に優れていると言えまいか。

さらに客人を自宅に招いた時に、「東南アジア旅行に行った時に覚えた料理なんだ」と一見食材がわからない料理を出し、客人が食した後で「何の料理なの? 」と訊かれたらおもむろに本棚を指さすと、そこには昆虫食の本が並んでいる‥‥そんなドッキリにも使えて一石二鳥‥‥いや虫なのだ!

<洋泉社 2016/8/4発売>

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