古代アレクサンドリア図書館と視聴覚室の収蔵資料目録

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日本漫画と文化多様性~世界に拡散する絵物語コミュニケーション~ 放送大学テレビ特別講義

time 2016/09/03

日本漫画と文化多様性~世界に拡散する絵物語コミュニケーション~ 放送大学テレビ特別講義

 初放送は2011年なのですでに「ちょっと前感」があるものの、その感覚自体に二次元コンテンツ業界の移り変わりの速さを感じてしまう今日この頃。

 講師は東京工業大学大学院の出口弘教授。幅広い分野で活動している様子の出口教授の個性はフェイスブックの自己紹介からも伺えます。


コンテンツ産業論 [ 出口弘 ]

カワイイ文化とテクノロジーの隠れた関係 (横幹〈知の統合〉シリーズ)[本/雑誌] / 遠藤薫/著 大倉典子/著 出口弘/著 田中秀幸/著 武田博直/著 周東美材/著

 

 まずは当時のマンガを中心にしたメディアとその周辺のお話を、まったく興味ない人にもわかりやすく解説。

 沢山のマンガ雑誌や単行本が持ち込まれたスタジオで講義が始まるのだけれど、現在はこのなかで何割のマンガ誌が生き残っているのかと思うと、最前線に送られる前の兵士たちの記念写真のように見えなくもない(チト大袈裟か‥‥いや雑誌業界で生きてきた自分としては他人事ではない)。

 2011年の時点で痛車や聖地巡礼といった現在も続くヲタ文化はほぼ出揃っていて目新しくも古さも特に感じないのは、すでに充分に成熟しているとも新しいモノが出てきていないとも言えるのでしょうかネ。

 しかし歴史を遡れば、江戸時代から日本ではアマチュアの創作活動が盛んで、当時は「連」と呼ばれていたそうな。

 ‥‥という流れでアマチュアイベントとしてコミケの解説が入り、ウッドストックよりも一回のコミケのほうが動員数が多いんだと知って一瞬ヘ~と思うが考えてみりゃさもありなんだナ。

 日本マンガの海外人気の代表例として「ヘルシング」が取り上げられ、諏訪大社で東方イベントが行われたりなど、知らない人は感心、ヲタには常識なんだろうな~的な解説が続くが、世代が幅広い放送大学生向けの講義としてはジャストバランスといったところなんでしょうね。その分野に興味を持った人向けの新書みたいな感じですかな。

 そして、いよいよ「絵物語」の歴史の解説が始まる。

 絵物語表現の歴史は少なくとも江戸中期に遡り、現在のマンガに近いスタイルは明治以降の新聞マンガの影響で確立したものだが、絵物語としては江戸から連続している。

 という本講義の核心であろう話とともに北斎漫画から当時の絵手本を紹介。そして、同人誌の隆盛を文化の中心と周縁という視点で語りつつ講義を終えます

 筆者も語れるほど詳しくないけれど、江戸期の黄表紙本を紹介する本などをチラ読みしたところ、現代風にアレンジしたら結構そのまんま少年向けマンガやラノベでも通用しような設定やアイディアに満ちた本が多くて驚いたことがあります。そのうちに本ブログで紹介したいところであります。

 こういうテーマになると、「なぜ日本人は絵物語(漫画アニメ含む)がこんなに好きなのか?」といった話になることが多いんだけど、それは絵画文化だけでなく、高い識字率に加えて、昔から娯楽本がビジネスとして成り立つほど経済が発展していたからなんだよ! という雑文をいつか書いてみたいと思っておりやす。

 この特別講義はちょくちょく再放送されてますが、放送大学によりネットで公開されているので、興味有る方はタイトルで検索してみてください。

 そして、放送大学にはその後の展開と現状を盛り込んで更新された講義を期待しております。

 

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