古代アレクサンドリア図書館と視聴覚室の収蔵資料目録

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『シャークネード エクストリーム・ミッション』

time 2016/08/14

『シャークネード エクストリーム・ミッション』

「海に入らなければ鮫なんて怖くないヨ!」
なんて油断している夏休みの少年少女を恐怖のドン底に突き落とす
“人喰い鮫が空から降ってくる!”
“ユニバーサルスタジオが鮫まみれ”
“最後はスペースシャトルで宇宙に飛ぶ”
刺激的映像がてんこもり過ぎるパニック映画

 
パニック映画といえば巷では『シン・ゴジラ』が話題ですが、まだ見てないので何も言えません。とはいえ、“巨大災害的な映像”を9.11や3.11以降にフィクション映画として創るという行為は、誠実なクリエーターほど様々な意味で葛藤があるに違いない‥‥そういう視点でも観て見たいんだけどまた見てないんだよ。

まぁいいさ、俺たち映画ファンには『午後のロードショー』という強い味方が常に側にいてくれるじゃないか(平日限定だけど)。そして、今年の夏もテレ東は心憎いチョイスをしてくれやがる。夏休みのガキども(+暇な大学生とかニートとかも)向けにパニック映画の人気ジャンル「鮫映画」を毎週放映する「鮫祭り」を開催してくれやがる。

まずこの映画、「空から鮫が降ってきて人間が容赦なく襲われる」映像で常識がガタガタに崩れる(お爺ちゃんお婆ちゃんの入れ歯が外れてフガフガになる感覚か!?)
なぜ街中で人が鮫に襲われているんだ? その答えは、「巨大竜巻が人喰い鮫の群れを巻き上げ、天から鮫の群れが降り注いできて人を襲う。これがシャークネードだ!」というイカれた設定に脳ミソを打ち抜かれる。かといって「いや、竜巻で空から魚が降ってきたという事例は複数報告されている(本当)ので、絶対にないとは言い切れない‥‥もしかしたら現実に起こりうるのかも‥‥」と決して一笑に付すことができない絶妙な設定でもある。いや、このアイディアを発想して企画・脚本化した人はマジで尊いよな。

と、気になって検索してみると、この作品はシリーズ三作目。さすが映画の国アメリカ、同時に「良くも悪くもバカの先進国」だけあって、「オレはこんな映画を待ち望んでいた!」そんな連中に支持され続けたパート3が本作なのだという。

人間にとって危険な動物は数あれど、「人間を餌として襲い、鋭利な牙で覆われた巨大な口でガブッと噛み付いてくる」というわかりやすい恐怖心をここまで煽る現生生物は他にいまい。

進撃の巨人が大ヒットしたのも、単に「巨人が人間を殺す」ではなく「人間が生きたまま食われてしまう」という根源的な恐怖に訴えてくるからに他ならないと思う。

で、内容紹介はネタバレにもなってしまうので、好事家の視聴欲をソソりそうな部分だけを抜擢すると‥‥。

・主人公は前作で“チェーンソーで巨大鮫と闘って勝利”したらしく、大統領から英雄として勲章を受ける。
・だが、いきなりホワイトハウスがシャークネードに襲われ、大統領も大変なことに!
・セクシー美女っぽい女戦士も出てきてリベンジを誓う(鮫に)
・軍が出動して鮫退治しようとするも、大自然の猛威の前に人為など無力‥‥。
・ユニバーサルスタジオも大変なことに。ジェットコースターに乗っても鮫にガブリ!
・“ユニバ看板”がふっとんだりするパニック映画のお約束もサービス。
・鮫のせいで全米がピンチ! やっぱりシャークネードは元から断たなきゃダメ、とスペースシャトルに乗り込み宇宙へ飛び立つ! という壮大なラストへ‥‥。だが、そこでさらに信じられぬ事態が!! 果たして彼らはアメリカを救うヒーローになれるか?

と、最後まで手に汗握るシーンの連続なのだが、パート4も精意製作中らしく、売り上げも好調なのであろう。

では、果たして日本で『シャークネード』に対抗しうるような無茶ぶりパニック映画は創れるであろうか?
今はCGでそこそこの映像は創れるだろうから、あとはどんなテーマのチョイスするか?
日本では人を襲う大型生物が海外に比べて少ないし、だからこそ“怪獣”といった存在が生み出された部分もあるのだろう。近年被害が増大しているといえば熊だけれども、これは被害が生々し過ぎてエンタメにするのは難しいと思われる。今回の午後ローの鮫特集も、もし日本で鮫被害が発生した場合、放送変更を余儀なくされるリスクが付きまとっているのだ。

結局、大手映画会社で企画が通るとしたら、大正時代の北海道の羆害事件に迫った吉村昭原作の『熊嵐』とかになるのだろうが、それでは真面目な映画になってしまう。(それはそれで観たいけれど)

そういう意味で日本では、古い作品になるが『北京原人 Who are you?』的なテイストがもしかして当てハマるのかも知れないが、あれは基本パニック映画ではないし(大コケし過ぎて関係者がパニックに陥ったという噂もあるが)、人喰い北京原人ちょっと無理があるだろうし、北京原人が殺人鬼になったり、あるいは北京原人版バイオハザードのような妙ちくりんな内容になってしまいそうでこれまた実現性は低く微妙ですな。
まぁ、冒頭に戻ればゴジラ自体が巨大災害や戦争の暗喩ということで、やっぱり日本でこういった作品を創るとしたら、なんだかんだで“怪獣映画のパロディ”になってしまうのかな。
あるいは海に囲まれた国だから、クジラやイルカが凶悪化して人間を襲いまくる映画なんて発想もできるが、いろいろややこしすぎる問題があって実現は厳しいと。
大衆娯楽の代表である映画には国民性がモロに現れるというが、やはりこういうジャンルの映画でも、日米の間には広大な太平洋が存在しているのかもしれない。そこには鮫もウヨウヨいるしね。

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