古代アレクサンドリア図書館と視聴覚室の収蔵資料目録

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「日本人=農耕民族」はまだしも「欧米人=狩猟民族」論は絶対オカシイ! というオハナシ 

time 2016/09/12

「日本人=農耕民族」はまだしも「欧米人=狩猟民族」論は絶対オカシイ! というオハナシ 

『自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信がある人に変わるたった1つの方法』下園壮太(著)
という本が図書館にあったので借りて読んでみたら‥‥。

「災害地へ派遣され、危険な状況での遺体捜索といった過酷な使命に従事している自衛隊員って心身ともにものすごくストレスフルだろうな。普段から鍛えているとはいってもメンタルは別だろうし、危険地域での遺体捜索なんて並みじゃないストレスだろう‥‥」と常々思っていました。

そのケアを行っているメンタル教官の本ということで興味を持ったのですが、一般向けのメンタルケアがテーマの本なのでそういった具体的なエピソードあまり出てきませんでした。

とはいえ、内容は勉強になったし良しとしようと思っていたら、途中でどうしても気になってしまう章が出現‥‥。

それは、日本人と西洋人の気質の違いを説明するための記述で

西洋人気質(西洋人マインド)
日本人気質(日本人マインド)

「西洋社会では、狩猟が主体です」
「一方日本社会は、共同による稲作社会」

という、いわゆる「日本人=農耕民族。欧米人=狩猟民族」論をそのまんま当て嵌めてる説明のみならず比較表まであったからなんですよ。

著者は日本人相手のメンタル教官であり、この比較論が著者の仕事にミスリードを招いているとは考えにくいため、この本のメインテーマと内容にイチャモンをつけるつもりは毛頭ありません。

しかし、西洋人=狩猟民族という比較論は自分が子供の頃から度々見かけるモノでして‥‥。

西洋人=牧畜文化、肉食文化ならまだわからなくもないけれど(それも「欧州でも地域差が激しかった」のが実像ではないかと)、欧米人=狩猟民族という「なんとなく漠然とそういうイメージがあるけど、ちょっと考えたらおかしいと気づくハズ」な比較論はどこから生まれたのだろうか?

そう思って検索してみたら、同じ疑問を抱いていた方も多いらしく、mixiでも大いに参考になる議論が交わされていた。

投稿によれば和辻哲郎の1931年の著書『風土』が初出ではないかということ。戦前ですな。
いわゆる世界史の教科書でいうところの「文明社会」はみな「農耕社会」の発展と拡大によって生まれたわけで、「世界4大文明」もそうだったはず。

現存する狩猟民族はアフリカやアマゾンに住む少数民族、あるいはエスキモーやイヌイットなど(すでに狩猟生活メインじゃないでしょうけど)に過ぎないわけで、いずれもアフリカ系民族やモンゴロイドで、コーカソイドの現役バリバリの狩猟民族なんて寡聞にして知らない。

なんとなく欧米人=いっぱい肉食ってるし性格も肉食系っぽいから狩猟民族だよな! という乱暴かつ偏見に満ちた決めつけに過ぎないのであろう。もっといえば、クロマニヨン人の“原始人イメージ”をそのまんま欧米人に投影しているように感じる。

最近は縄文人だって、「結構昔からドングリから漆まで管理栽培してたんですよ~」なんて研究成果が発表されて、狩猟採集一辺倒なイメージは覆されてきているようですし。

逆に、現代西洋文化の大きな源流となったグレコローマン文化を育んだ古代の国々が、実は狩猟生活を送っていた‥なんていう新説は聞いたことがない。奴隷に食糧生産させてパン食ってワイン飲んでたイメージですよ。

しかも、最近のアメリカ人なんか健康志向で日本人よりも野菜摂取量が多くなったという報道も聞いたばかり。

まあ間違いだってことは間違いないとして、なぜそれが広く人口に膾炙して、戦前から現代まで綿々と語り告がれているのかはなかなか興味深いテーマのような気がします。戦前から語り継がれているのであれば、当時の日本人の「欧米人ってこんな連中なんだぜ」イメージ形成にも一役買っているのかもしれないし。

いろいろ調べて書けば、新書くらいの分量にはなりそうですね。

「欧米人がこんなに狩猟民族のわけがない」というラノベっぽいタイトルもいいかも。

せっかくだから調べて書きたいところですが、自分の「書きたい」優先順位のランク的に余裕なくて書けなそう‥‥。

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